SLAPP HAPPY

同じ音楽でも、外でiPodで聴くのと、家でスピーカーを通して聴くのでは、ずいぶんと印象が違います。
以前、友人から何枚か借りたSLAPP HAPPYというバンド。これが外で聴いてると、ちっとも面白くない。ダイナミクスの無い女性ボーカル。ヨーロピアンテイストに溢れた小品の数々って感じで、なんか退屈だなーと感じてたんです。が、家でスピーカーで聞き直してみると、意外に面白い。アイデアがちりばめられていて、一筋縄では行かない、クセものバンドという感じ(いや実際、かなりのクセもの)。
多分、安物ヘッドホンで聴いていると、ダグマー・クラウゼの繊細な声ばかりが耳について、バックにあるズ太いロックな部分がよく分からなかったんだと思う。
このバンド、ドイツ、イギリス、アメリカ混成のプログレッシブ・ポップ・グループという位置づけ。72年に結成し、一時期解体するも復活をとげ、97年には新作も発表している。
思い返せば、SLAPP HAPPYにせよKEVIN AYERSにせよ、音源を貸してくれ、教えてくれたのは、古い友人でありバンド仲間のDENDENである。ロックの王道から少し外れたところにある、マニアックな愉しみというか、『分かる人にだけ分かる分野』に精通した彼からは、昔からいろいろ教えてもらっているなぁ。どうしてますかー?(笑)去年の年末に一緒にライブをやって以来、会ってないけど、まぁ、そのうちに。

何枚か借りた中で、一番気に入ってるのが1stの「Sort of」。72年発表。やっぱり時代もあって骨太で荒いカッコよさがある。そんなところが気に入っている。ベースがやたら大きくて、ドラムが少し奥に引っ込んだ感じの音作りも好み。クレジットを見るとドラムとベース、そしてサックスにFAUSTのメンバーが!リズム隊は完璧にジャーマンなんですね。ヴォーカルのダグマー・クラウゼもドイツ人なので、参加メンバー6人中4人がジャーマン!ドイツ、イギリス、アメリカ混成とは言え、かなりドイツに偏った編成です。
73年発表の2nd「Acnalbasac Noom」でもFAUSTが全面協力。収録されるもレコード会社から発売を拒否され、80年のリリースまでお蔵入りだったという。後に「Acnalbasac Noom」の収録曲を、部分的に曲を変更したり曲順を変えたりしてレコーディングし直したのが「Casablanca Moon」。つまり、実際にリリースされた2ndアルバムは「Casablanca Moon」で、「Acnalbasac Noom」はボツテイク集ということですね。ちなみにこの2つのアルバムタイトル、スペルそのまんま逆さです(笑)。なんちゅーヒネくれたヤツらなんでしょうか。
もちろん、自分の趣味にぴったりなのは、クラウトロックの雄〜FAUSTの全面協力で作られた「Acnalbasac Noom」ですが、イギリス人スタジオ・ミュージシャンを従えて録音し直した「Casablanca Moon」も、ゴージャスな雰囲気が楽しく、英米音楽のいいところをふんだんにちりばめた名盤だと思います。

FAUSTをバックに録音されたアルバム「Acnalbasac Noom」に収録の「Casablanca Moon」

こちらはアルバム「Casablanca Moon」収録の「Casablanca Moon」

1stアルバム「sort of」のオープニング曲「‪Just a Conversation‬」。なるほど、よく聴きゃFAUSTだ。